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実家の売却でよくあるトラブルと解決策

「そろそろ実家をどうするか考えないと…」
空き家になった実家や、相続で受け継いだ実家。いざ売却しようと思っても、思った以上にスムーズに進まないことが少なくありません。実家の売却は、不動産の取引でありながら、“家族の思い出”や“相続”といった感情や法律が絡むため、一般の住宅売却よりも複雑になりがちです。

「兄弟で意見が合わない」「境界線があいまい」「税金のことがよくわからない」──こうした問題を放置すると、売却のチャンスを逃してしまったり、トラブルが長期化してしまったりすることも…。

そこで今回は、「実家の売却でよくあるトラブル」と、その解決策についてわかりやすく解説します。

 

1. 兄弟・親族間で意見がまとまらない

よくあるケース

実家を相続したときに複数人で共有していると、「売りたい派」と「残しておきたい派」に分かれて話が進まないことがあります。中には「急いで現金化したい」「リフォームして貸したい」と意見がバラバラになり、結果的に時間だけが過ぎてしまうケースも。

解決策

早めに話し合いの場を設ける
感情論になる前に、相続人全員で「実家の今後」を冷静に話し合うことが大切です。

専門家を交える
第三者の不動産会社や相続診断士、司法書士などを交えることで、感情を整理しながら公平に進められます。

持分売却や代償分割も視野に
「残したい人が残す」「売りたい人は持分を買い取ってもらう」という方法も選択肢に。

 

2. 境界線や測量のトラブル

よくあるケース

「実家の土地の境界がはっきりしていない」「隣地との境界杭がなくなっている」といったケースは珍しくありません。測量や境界確定に時間がかかると、買主が不安になり契約に至らないこともあります。

解決策

事前に境界を確認しておく
売却活動を始める前に、土地家屋調査士に依頼して境界確定測量を済ませておくと安心です。

隣地所有者との協力がカギ
境界は双方の合意が必要です。日頃の関係性を活かしてスムーズに進めましょう。

 

3. 相続登記をしていない

よくあるケース

「登記簿を見ると、まだ亡くなった親の名義のまま」──この状態では売却はできません。相続登記をしていないと、買主も契約できず、売却のタイミングを逃してしまいます。

解決策

2024年4月から相続登記は義務化
相続発生から3年以内に登記をしなければならないルールが始まっています。

司法書士に依頼して早めに手続きを
複数の相続人がいる場合も、専門家に任せることで手続きがスムーズに進みます。

 

4. 実家の老朽化によるトラブル

よくあるケース

築年数が古く、雨漏りやシロアリ被害がある家は、買主からの値下げ交渉が多くなります。場合によっては「解体して更地にしてほしい」と求められることも。

解決策

事前に簡易点検をしておく
不動産会社や建築士に簡単なチェックを依頼すると、修繕や解体の判断材料になります。

売却方法を選ぶ
「現状のまま売る」「解体して土地として売る」「リフォームしてから売る」など、状況に応じた売却戦略を立てましょう。

 

5. 税金の問題

よくあるケース

実家を売却すると「譲渡所得税」が発生する可能性があります。特に複数の相続人で売却益を分配する場合、税金の計算が複雑になりがちです。

解決策

特例を活用する
「相続空き家の3,000万円特別控除」や「居住用財産の3,000万円控除」など、条件を満たせば大きく節税できます。

事前に税理士へ相談
税金は売却価格や相続の経緯によって大きく変わります。後から慌てないように、早めの相談が安心です。

 

6. 買主との契約トラブル

よくあるケース

契約後に「雨漏りが見つかった」「隠れた欠陥があった」としてトラブルになることもあります。これは「契約不適合責任」に関わるため、売主に負担が及ぶ場合があります。

解決策

告知義務を守る
売主が知っている不具合は必ず伝えましょう。隠しても後で大きなトラブルになります。

保険を活用する
不動産会社によっては、売主が加入できる「契約不適合責任保険」が用意されています。

 

●まとめ

 

実家の売却は、ただの不動産取引ではなく、家族の歴史や思い出、相続や税金など多くの要素が絡み合います。そのため、トラブルになりやすいのも事実です。

しかし、事前に「どんなトラブルが起こりやすいのか」を知っておくことで、多くの問題は防ぐことができます。境界や登記を整えておくこと、親族間での意見調整を早めに進めること、専門家をうまく活用すること──これらを意識するだけでも、売却はぐっとスムーズになります。

「実家を売る」という決断は、家族にとって大きな節目。後悔しないように、一歩一歩着実に準備を進めていきましょう。